司法書士の仕事③裁判書類等の作成 part.2
2021/10/05
裁判所(家庭裁判所以外)へ提出する書類の作成:本人訴訟支援
司法書士の仕事を数回に分けて、詳しくご説明いたします。
今回は主な業務の一つである家庭裁判所以外の裁判所に提出する書類作成のお話をいたします。
§司法書士法第3条第1項
司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
第4号 裁判所若くは検察庁に提出する書類(一部省略)を作成すること。
§司法書士法第73条
司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者は、第3条1項1号から第5号までに規定する業務を行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
貸したお金を返してもらいたいとき、賃貸アパートの建替えや入居者の家賃滞納などを理由に立退いてもらいたいとき、残業代を払ってもらいたいときなど、正当な理由があるのに相手方が応じてくれない場合の最終的手段としては裁判所に救済を求めることになります。これを訴えの提起といいます。この訴えを提起する側(原告)またはそれを受けた側(被告)からご相談を受けた場合には、その後の裁判手続きをご自身で進めて行くのか(本人訴訟)、司法書士に代理人として任せるのか(代理人訴訟)を選択していただきます。その前提として、まず法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における請求額140万円以下の民事訴訟事件に限り代理人訴訟の受任ができる旨をご説明し、その後、ご相談者様から事情をお聴きし、お持ちの関連資料を確認し、事案について分析をし、ご相談者様に手続の説明、手続きを進めるにあたっての助言等を行い、ご理解のうえで選択していただきます。
本人訴訟を選択された方には、必要となる裁判所への提出書類を作成し、本人訴訟の支援をいたします。具体的には作成した裁判書類の記載内容のご説明、裁判所の法廷で訴状等に記載してある内容を主張する日(口頭弁論期日)における手続きへの対応などについてご説明やアドバイスをし、ご依頼者様が納得しスムーズに訴訟活動を進められるようお手伝いをいたします。あくまでも法廷に立つのはご依頼者様であり司法書士はそれを支える側となります。リングに上がる選手と、それを支えるトレーナーみたいな関係でしょうか。ここが法廷に司法書士が立つ簡裁代理業務(後日ご説明)と異なるところです。
作成する主な書類は以下のとおりです。
❑ 訴状
まずは訴状という書面を裁判所に提出する必要があります。簡易裁判所においては、口頭でも訴えの提起ができる旨の規定がありますが、専門家として関与するときは必ず訴状を提出します。
貸金返還請求の記載内容の簡単な例
1.請求の趣旨
1 被告は原告に対し金〇〇万円支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
2.請求の原因
1 原告は被告に対し〇年〇月〇日、金〇〇万円を
次の約定で貸し付けた。
(省略)
2(弁済期である)〇年〇月〇日は経過した。
何を求めるのか、またその原因となる事実は何であるかを裁判官にわかりやすく簡潔に記載します。その他、当事者・証拠方法・附属書類等を記載。
❑ 答弁書
訴状を審査した裁判所から被告に当該訴状が届きます。答弁書とは、訴状を受けた側である被告が受けて立つ(応訴する)ときに裁判所へ提出する書類となります。
貸金返還請求の記載内容の簡単な例
1.請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
2.請求の原因に対する答弁
1 請求の原因は認める。
3.被告の主張
1 被告は原告に対し、〇年〇月〇日、金〇〇万
円を弁済した。
訴状の記載に対し認める部分と認めない部分を特定し、認めない部分についてはその根拠・理由を記載。その他、証拠方法・附属書類等を記載。
その他、準備書面・証拠説明書・控訴状等、勝訴に向けて必要なものや、裁判所の判断に不服のある時に提出するものなど様々な書類がございます。