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司法書士の仕事②商業登記

司法書士の仕事②商業登記

2021/09/26

商業登記

司法書士の仕事を数回に分けて、詳しくご説明いたします

 今回は商業登記についてご理解いただけたらと思います。

§司法書士法第3条第1項
 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

 第1号 登記又は供託に関する手続について代理すること。

§司法書士法第73条
 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者は、第3条1項1号から第5号までに規定する業務を行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 最もご依頼の多い株式会社についてお話いたします。

❑ 設立
 
株式会社は本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(会社法49条)。
 これは法律に準拠した定款を作成、出資金を払込み、役員の選任その他事業活動に必要となる様々な行為を行っても設立の登記を備えない限り会社の行為であると認められないことを意味します。もっとも設立に向けて必要とされた行為の効果は設立の登記を備えることで会社に帰属します。
 こうして登記が会社の誕生する要件とされているのは会社に関する重要事項を公示することで、その会社の信用を維持し、安全に取引が行われることを目的としています。
 この設立登記手続は司法書士が行うことができ、必要書類となる定款、発起人の同意書、役員の就任承諾書及び出資金の払込証明書等を作成いたします。これら書類については、ご依頼者様より立ち上げる会社への思い、希望される商号、事業目的や出資の価額等をお聞きしたうえで調査をします。その後、法令上の問題あるいは設立後の事業活動への支障が危惧される場合には、適切な助言をさせていただき、ご納得されたうえで作成するよう努めます。

 以上は会社設立のお話ですが、設立後の会社に以下のような事由が生じた場合の登記手続も代理いたします。

❑ 役員変更
 役員の就任や辞任等があった場合には、役員変更の登記が必要となります。受任した司法書士として、登記簿と定款にあたり、取締役会を置いている会社か、就任することで定款所定の定員をオーバーしていないか、辞任することで定員不足が生じていないかなど、慎重に調べたうえで押印書類の作成に進みます。
 押印書類作成後はそれぞれの書類に必要な印鑑を押していただきます。滞りなく登記が完了するよう、会社の届出印や役員個人の実印を押すべきところは正確に判断し完成させます。

❑ 本店移転
 会社が本店を移転した場合には、本店移転の登記が必要となります。移転先によって管轄法務局外への移転か、決議機関は取締役の決定で足りるのか、株主総会も必要となるのかなど会社法等に基づき適切に判断したうえで書類作成に進みます。

❑ 資本金の増加
 会社が新株を発行したことに伴い、既存の株主が出資金を増やした場合や、新たに株主が加わった場合には、発行済みの株式数の変更及び資本金の額の変更登記が必要となります。定款所定の発行可能株式総数を超えてしまわないか、株主総会に加え取締役会が必要か、金銭以外による出資の場合に必要となる書類は何かなど会社法等に基づき適切に判断したうえで書類作成に進みます

 以上、主な業務を取り上げましたが、いずれの手続きにしろ、常に法令を遵守し、定款や登記記録の重要事項を取りこぼさぬよう注意深く執務にあたることが基本となります。

 なお、会社法には、会社の登記事項に変更が生じたときは、「変更の時から2週間以内に登記せよ」と規定されていますのでご注意ください。長い期間登記をせずに放置したままでおりますと、裁判所から代表取締役の自宅へ過料決定の通知が送られてきてしまうので、変更が生じたら速やかに登記手続きを行いましょう。

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